広さは子どもが成長するのに十分でしょうか?
家賃は生活費を圧迫しすぎていないでしょうか?
シングルマザーにとって、住む場所が変わるきっかけはそれなりにあります。
離婚したときに決めた家を出る時期がくるから
実家にいると児童扶養手当がもらえないから
子どもが大きくなって今の家が手狭になったから
などの理由で、いまの家に住み続けることが難しく、住む場所に悩むシングルマザーは少なくありません。
そんな中、一般的な住宅事情として賃貸の家賃は住宅ローンの返済よりも高いです。
と考えることはおかしいことではありません。
住宅を買うためのお金は大金です。購入資金をすべて現金で支払うことは難しいので、住宅ローンを使うことを検討される方が大多数でしょう。
ですがこんなことを考えていませんか?
大金の借金なんて、なんだか怖いなぁ
人生の三大支出の一つに住宅資金は含まれます。買い物では滅多に使わないほどの大きな額です。
それだけ普段接する機会のない仕組みである住宅ローンのことを知らなすぎて、何か途方もない失敗をするような不安をもつのもわかります。
ここでは家を買うことを決意したばかりで不安いっぱいなシングルマザーが、住宅ローンで失敗しない方法をご紹介していきましょう。
Contents
住宅ローンってそもそもなに?シングルマザーに想定される失敗って?
まずは敵を知るべし、ということで住宅ローンについてご説明していきます。
他のローンと何が違うの?

住宅ローンにカーローン、クレジットカードのキャッシングやリボ払いなど世の中にはいろんな名前のローンがあります。共通するのはどれも借金だという事実です。
借金であるということはどのローンも、借りた金額と借りた期間に対応する利子を最終的に支払う必要があります。
その中で住宅ローンは、他の借金と明らかに一線を画す存在です。その理由として大きいものが2つあります。
- 借入期間
- 金利
借入期間の違いは、言うまでもなくその長さにあります。35年ローンといった感じで、35年間もの長い間、返済を続けるような借金の形はなかなかありません。
借り入れる側が、想像しにくいほどの未来までお金を借り続けられるのが住宅ローンです。
金利の違いに関しては、カードのキャッシングなどの他の借金と比べて明らかに低金利であることです。
この低金利は住宅ローンの金利の計算方法が特殊なものだからなので、その計算方法を記載しておきます。
住宅ローンの金利の計算方法
住宅ローンを組むために銀行へ向かうと、店頭表示金利と優遇金利の2つの文字が目に入ると思います。
銀行がこの金利でお金を貸しますと宣言している金利です。店頭金利、基準金利などとも呼ばれます。
住宅ローンの貸付の場合は、店頭表示金利からこれだけ金利を低くしますよと言っている金利です。
住宅ローンの金利はこの2つの金利から計算されます。計算された金利を適用金利、もしくは実質金利と呼びます。
適用金利=店頭表示金利-優遇金利
例えば店頭表示金利が2.475%で、優遇金利が1.4%の場合は2.475から1.4を引いて1.075%が適用金利になります。
「金利は低いほうが良い」という声の表面だけをなぞって、優遇金利が低いものを選ぶことがないように理解しておきましょう。優遇金利が低くなると適用金利は高くなってしまい、たくさん利子を払うことになります。
優遇金利は借りる側の条件や返し方によって変わるため、住宅ローンと一口に言っても適用金利は様々です。銀行のシミュレーションサイトなどを使って自分が借りるなら適用金利がどれくらいでないといけないかは知っておく必要があるでしょう。
ローンに適用される金利が低くなるということは、利子が小さくなるため返済するお金が少なくなります。
ローンの中でも住宅ローンであるだけで優遇金利を引いてもらえるために、金利が低くなるのです。
住宅ローンはもともと借りる額が大きいために、長い期間に渡ってお金を返していく必要があります。そのため期間と金利に、このような他のローンにはない違いが設けられているのです。
シングルマザーでも借りられるの?借りられる条件は?

住宅ローンは、シングルマザーでも借りられます。
シングルマザーだからという理由だけで、住宅ローンが借りられないことはありません。
ただし借り入れることに関して差別がないのはもちろんですが、シングルマザーだからという優遇もありません。
金融機関が借り入れを申し込んだ人のことを調査して、この人なら貸してもきちんと返してくれそうだと判断したら貸してもらえます。
その判断に重要な項目がいくつかあります。
他にも検討される項目はありますが、上の5つは特に注目されますので自分でもしっかり把握しておきましょう。
ちなみに他にも以下のような内容を金融機関では確認します。

引用:どうする住宅資金 令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査 後編
ここでは重視される5つの項目について内容をご説明します。
年齢
借り入れるときの年齢と完済時の年齢を見られます。
借り入れの年齢はあまり若すぎると良く見られないと言われています。20代ではまだ収入も安定しておらず、先の予想が立てづらいなどといった理由から30代くらいからをターゲットにしていることが多いです。
また35年という長さで借りることが珍しくないため、多くの金融機関では80歳までに返済が終わるかという点を気にしています。あまりにも高齢になると返済が難しくなるのでは?という貸す側の懸念もわかりますよね。
健康状態
大きな病気などを患っていないかが注目されます。というのも住宅ローンでは借り入れと同時に保険に入ることが一般的です。団体信用生命保険(略称:団信)は加入者に万一のことがあった場合、遺族が住宅ローンを支払わなくて良いという保険です。
借り入れる金額が大きいからこそ、そのような転ばぬ先の杖は必要です。その保険に入るためには健康が第一条件となるのです。
物件の価値
住宅ローンを使用して購入する物件を、売却した時に見込まれる売値がいくらぐらいになるのかも考慮されます。もしローンの完済が叶わなかった場合、銀行は担保としていたその物件を売却できるからです。
ある程度の築年数の中古住宅などは価値が低いために住宅ローンが通らないことがあります。
参考までに、以下は30年後の同条件(広さ・築年数)の物件のうち、不動産屋から見て資産価値の落ちにくいと思うものはどれかという意識調査の結果です。

戸建てが一番価値が落ちにくいと考えられていますが、必ずしも戸建てを勧めるものではありません。実際の資産価値は建てられている地域や、災害に合いにくいかなどといった状況なども考慮されるからです。
ただ物件の資産価値は気にしておくようにしましょう。
年収
お金を返していく責任が発生するのですから、当然借りる側がどれだけの収入を得ているのかは重要視されます。年収の2割~3割程度以上の返済額になるようであれば、住宅ローンの借り入れは難しいと言ってよいでしょう。
シングルマザーは年収が低いことが多いため、こちらがネックとなることが多いようです。
勤続年数
今働いている職場にどれだけの長さを勤めているかも見られます。昔は3年以上という目安が多かったのですが、最近は1年以上続けているかを見る金融機関が多いです。

引用:転職したい人が見落とす「住宅ローン」のリスク 「勤続年数」は審査項目で重要視されている
ライフスタイルの変化による転職であったとしても、勤続年数が1年に及ばずに審査が厳しくなる場合があることは理解しておきましょう。
住宅ローンは長期間の返済になりますので、安定性が重視される傾向にあります。年齢や勤続年数が、判断基準として高いウェイトを占めているところが、住宅ローンならではという感じですね。
とはいえこれらの判断基準は、すべてを複合的に考えて考慮されます。年齢も20代だから絶対に通らないこともないですし、年収も低いから最初から諦めるべきということでもありません。
ただ審査が通らないと、やはり精神的にショックを受けてしまいます。
審査に落とされやすい項目があるのであれば、改善できないかを考える目安にしてください。
家を住宅ローンで買う流れは?

住宅ローンを借りる前に審査があることはわかったけど
実際に住宅ローンを借りようとしたら審査は家を買う前?後?
そんな疑問にお答えしましょう。
ざっくりとした住宅購入の際の流れをご説明します。
- 物件を見つけて住宅の購入を申し込みます。
- 住宅ローンの事前審査を申し込みます。
- 事前審査に通過します。
- 住宅の売買契約を行います。
- 住宅ローンの本審査を申し込みます。
- 本審査を通過します。
- 住宅ローンを契約します。
- 住宅ローンが実行されます。
- 住宅の引き渡しが行われます。
まずは購入前に事前審査(仮審査)があり、買った後に本審査があるという二段構えです。
つまり住宅ローンを利用するには2回の審査をクリアする必要があります。
本審査は事前審査よりも日数をかけて念入りに審査されます。追加の資料提出を求められることもあります。
事前審査で明らかに融資できない人を素早く判別するためです。
住宅の売買に時間がかかると、元の持ち主や不動産屋が困ってしまいます。
そこで事前審査さえ通れば売買契約を行うことにして、物件の売買機会を逃さないように考慮されているのです。
だから事前審査に通ったから安心とは思わないでください。
事前審査では審査に時間がかかるので見逃しておいた部分も、しっかりと考慮されるのが本審査です。
住宅ローンの契約が済むまでは気を引き締めておきましょう。
具体的にどうなったら失敗なの?

住宅ローンの失敗とは主にこの2つです。
- ローンの審査が通らないこと
- 返済ができなくなること
審査についてはここまででご説明してきたので、だいたいの概要はお分かりいただけているかと思います。返済ができなくなることも、住宅ローンは借金なのですから失敗だと言ってよいでしょう。
この2つの状況に陥らないように気を付ける必要があります。
失敗したらどうなるの?
家が買えません。事前審査を通って売買契約をした後に、本審査が通らなかった場合でも売買契約が解除されてしまいます。
手付金などを支払っている場合、それらのお金は通常は返却されます。
担保としている物件を、住宅ローンを借り入れている銀行にとられてしまいます。
物件の価値が低く、返済額を満たさない売却額だった場合は、借金が残ることもありえます。
とはいえこの2つは他のローンでも起こる可能性がありますよね?
シングルマザーだからこその住宅ローンの失敗はありません。確かに借金だと考えると、高額で長期な住宅ローンですが、住宅ローンだからといって無意味に構えすぎる必要はないのです。
他のローンと同様にきちんと返済していければ、何の問題もないのだと安心してください。

住宅ローンを利用したいけど失敗したくない!シングルマザーが注意するべき点は?
- ローンの審査が通らないこと
- 返済ができなくなること
住宅ローンにおけるこれら2点の失敗を避けるために、シングルマザーが気を付けるべきことをご紹介します。
住宅ローンの審査が通らないことを避けるためには

審査を通すためにできることはやっておきたいですよね?
そんな中で一番重要なことをお伝えしておきます。
審査では絶対に嘘はつかないでください。
特に借金がすでにある場合、隠さないでください。普通にバレます。
そして借入先の銀行などからの心証は悪化しますので、より審査が通りにくくなります。
審査を通りやすくしたいがための嘘は逆効果ですのでやめましょう。
そして転職はタイミングに注意してください。先の説明の通り、審査では勤続年数を重要視しています。
転職をすることで勤続年数の情報が嘘になってしまいます。
事前審査を通ってから本審査までの期間に転職をするなんて特に最悪です。
売買契約上、審査に落ちても返ってくるはずだった手付金が手元に戻らなくなることもあり得ます。
故意でなかったとしても、社会からはそう見なしてもらえないことはいくらでもあるのです。子どもの成長に合わせて仕事場を変えることは当然ありえることですが、こと住宅ローンの審査という面だけで見ると簡単に職場を変えるわけにはいきません。
転職は本審査も済んで融資をうけてから行うようにしましょう。
それから住宅ローンの申し込み先にも注意が必要です。
ネットで住宅ローンの金利について調べたしっかりもののシングルマザーは、不動産屋で紹介される住宅ローンに憤ることがあります。
紹介された住宅ローンの金利が、ずいぶんと高めに設定されているように感じるためです。
今はネット銀行などでかなり安い金利の住宅ローンがあるので、特にそう思うかもしれません。
けれど金利の低いところは審査が当然厳しくされています。厳しく審査されるということは低収入であることやシングルインカムであることなどが安定性に欠けると判断されやすいという意味でもあります。
実際シングルマザーはネット銀行の住宅ローンは通らないとおっしゃっている不動産屋の方もいます。不動産屋は物件を売りたいのですから、まず通らない住宅ローンは勧めてきません。
大前提として審査に通らなければ家は買えないのです。現実的に利用できる住宅ローンを選ぶことも大切です。
それでも勧められた住宅ローンに納得ができないのであれば、自分でネット銀行へ住宅ローンを申請してみるのも良いでしょう。
ただし書類の準備がかなり面倒くさいです。その上プロが通らないと判断している審査ですから、普通に考えて通る確率は低いでしょう。
この方法は、自分の納得のために必要な労力だと思えたなら頑張ってみましょう。
シングルマザーにとって住宅ローンの審査を通すために気を付けるべきことは、以下の3点です。
審査に嘘はつかない
審査の期間に転職しない
借り入れ先は低金利ばかりを狙わない
返済計画はしっかり立てて

残念ながら返済ができなくなる状況を完璧に避ける方法はありません。
それでも無計画に借りるよりも、しっかりと計画を立てて借りたほうが破綻しにくいのは当然です。
そこで自分の立てている資金計画にムリはないかを確認しておきましょう。
特に子どもの教育資金や自分の老後の資金を考慮に入れておく必要があります。
今は資金繰りに余裕があったとしても、5年後、10年後、30年後の自分たちがどうなっているかは誰にもわかりません。けれど予想はしておきましょう。
その予想と外れるような変化が訪れたのであれば、早めに対応するように心がけておきましょう。
また児童扶養手当に影響がないかも考慮しましょう。
もし購入した家で親などと同居を予定しているのなら、手当の支給条件である世帯収入の制限に触れるかもしれません。
また子どもが成長し、手当の対象から外れる時期も計算に入れておきましょう。
児童扶養手当がもらえないことで、受けられなくなる福祉制度もあります。もし支給対象から外れるのであれば、支援を受けられなくなることによる影響も確認しておいたほうが良いでしょう。
そして養育費を返済計画にいれるのはやめましょう。
養育費は今後、元夫の状況によってはもらえなくなることも想定されます。
あてにしていては将来、苦しむのはあなたと子どもなのです。
返済ができなくなる未来を避けるために、シングルマザーが特にやっておくべきことが以下の3つです。
無理のない返済計画を想定する
児童扶養手当の範囲の確認をする
養育費はないものとして考える

【さいごに】住宅ローンの失敗が心配でも調べられるだけ調べたあとは決断するだけ!
シングルマザーも利用できる、金利が安くて長く借りられる借金
審査で嘘をつかない
転職のタイミングを気を付ける
借り入れ可能な金融機関に申し込む
返済の計画をきちんとたてる
手当への影響を理解しておく
養育費を返済予定に組み込まない
家というのは100%なんの問題もないこと自体がありえません。
ですがあなたが子どもと暮らすことを真剣に考えて選んだ家が、不満だらけになるなんてことがあり得るでしょうか?
シングルマザーはもともと思った通りにならないことを耐えて生き抜いてきている強い女性です。自分たちの生活を良くするために行なった住宅購入という決断を、良くないものだったと後悔することは多少のことではないでしょう。
ですから後悔することを恐れて家を買わないでいる必要はありません。
ただし住宅ローンは大金ですので、借りられる金額を借りるという意識はやめておきましょう。返せる金額を借りるという心構えを持ってください。
しっかり調べきったと思えるところまで調べきったら、思い切って住宅ローンにチャレンジです。
あなたの思い描く子どもとのよりよい生活が実現することを心から祈っています。